この雑誌について
意思決定者のためのマネジメント総合誌
出版社/著者からの内容紹介
Feature Articles
「組織IQ」の経営
Feature Articles
IT投資で伸びる組織、沈む組織
組織IQ論
早稲田ビジネススクール 教授
平野雅章
IT投資と企業業績に相関性はあるのだろうか。これまでさまざまな調査がなされてきたが、確たる証拠はなく、むしろ「制度やプロセス」「ITの利用段階」「コンテクスト」など、第三の変数を加味して考えるべきであるというのが一般的である。本稿では、「組織IQ」というコンセプトに基づいて、その高低を踏まえたうえで、IT投資と企業業績の関係を検証する。その結論は、組織IQが高ければ、IT投資と業績は正の相関を示すが、組織IQが低いと、IT投資と業績は逆相関を招くというものだった。すなわち、「IT投資は組織IQに従う」のである。また言うまでもなく、IT投資によって組織IQが高まることはない。以上のことは、人材投資についても当てはまる。
全米上場企業四〇年間の調査が明らかにする
競争力とIT投資の知られざる力学
ハーバード・ビジネススクール 准教授
アンドリュー・マカフィー
マサチューセッツ工科大学
スローン・スクール・オブ・マネジメント 教授
エリック・ブリニョルフソン
企業間競争の激化は一般に、M&A、グローバル化、R&D投資が原因とされるが、最近の各種調査によると、必ずしもそうとはいえず、また筆者らが一九六〇年代から二〇〇五年にわたってアメリカの全業界全上場企業を調査したところ、むしろ九〇年半ばから増大したIT投資の影響を被っており、しかもIT投資と企業競争力に大きな相関性があるという。すなわち、とりわけエンタープライズITの導入によって、全社的な業務革新が実現し、競争優位を生み出しているというのだ。シスコシステムズ、ドラッグストア・チェーンのCVS、オーチス・エレベータ、イギリスの大手小売チェーンのテスコなど、ITを導入して業務革新を実現し、その成果を全社で共有した企業が、いかに競争優位を獲得したかについて実証する。
高成長の秘密を解剖する
グーグル:革新し続ける組織
バブソン・カレッジ 准教授
バラ・アイヤー
バブソン・カレッジ 教授
トーマス・H・ダベンポート
奇跡的な成長を遂げてきたグーグルの強みは、その検索技術やITインフラによって説明されることが多いが、これら以外にも、ビジネス生態系を設計する思想、間断なく繰り返される実験、分析的な意思決定プロセス、外部や顧客を巻き込んだイノベーション開発、イノベーションと失敗を奨励する経営陣、遠大だが野心的な大志、市場変化を占う社内予測市場、デジタルな社員提案制度、事実とデータに基づくアイデア評価法など、学ぶべきことは山ほどあり、知識労働者の生産性向上とイノベーションの必要に迫られている企業にすれば、まさしくベスト・プラクティスの宝庫といえる。
高い顧客満足の秘密
新生銀行:事業戦略とITの融合
ハーバード・ビジネススクール 教授
デイビッド・M・アプトン
ハーバード・ビジネススクール 博士課程
ブラッドレー・R・スターツ
多額の不良債権を抱えて破綻した日本長期信用銀行を前身とする新生銀行では「質の高い商品とサービスを、便利で使いやすく、低コストで提供する」というバリュー・プロポジションを実現するには、旧システムを廃棄し新しいエンタープライズ・システムを導入することが不可欠であった。CIOのダナンジャヤ・デュイベディを核とするチームは、従来の開発手法とは異なる「パス方式」を採用した。それは「事業戦略とIT戦略の融合」「シンプルな技術」「モジュール化」「ユーザー重視のシステム」「システム改善へのユーザーの参加」をモットーとし、まさしく事業とケイパビリティとを支援するシステムを構築する手法であった。
「サービス指向アーキテクチャー」が生み出す
「超」リエンジニアリング革命
マイクロソフト ビジネスアーキテクチャ リード
リック・メリフィールド
アクセレア CEO
ジャック・カルフーン
シナプタス CEO
デニス・スティーブンス
ガートナーの調査によれば、二〇〇七年に構築されたミッション・クリティカルなITシステムの半分以上は、「サービス指向アーキテクチャー」(SOA)によるものだという。この話を聞いて、新手のIT投資物件の登場かといぶかる向きもあろうが、SOAが登場してきた背景、その目的と期待される効果について理解すれば、そのような疑いも解けるはずである。かつて一世を風靡したリエンジニアリングは、自社固有のビジネスプロセスをカスタマイズすることで、効率性と生産性の向上を目指すものだったが、SOAは、ビジネスプロセスの目的や成果、代替サービスや外部化の可能性に注目し、重複の解消と部門横断的な共有、標準化されたプラグ・アンド・プレーによって、二一世紀の事業環境にふさわしいビジネスプロセスの構築を目指す。本稿では、保険会社のハーバード・ピルグリムなどのケースを通じて、SOAのポテンシャルとその導入方法について検討する。
報酬制度や組織構造を変えても効果は薄い
戦略実行力の本質
ブーズ・アンド・カンパニー シニア・パートナー
ゲイリー・L・ネイルソン
ブーズ・アンド・カンパニー プリンシパル
カーラ・L・マーティン
ブーズ・アンド・カンパニー プリンシパル
エリザベス・パワーズ
五〇カ国一〇〇〇を超える組織の一二万五〇〇〇人が回答したオンライン調査によると、「自社の戦略実行力は低い」と評価する社員が全体の六割に上るという。筆者らの調査よると、戦略実行力は、「意思決定権」「情報活用」「動機づけ」「組織構造」の四要素が、その優劣と持続性のカギを握るという。また筆者らは、戦略実行力の優劣を評価する一七の組織特性を明らかにした。これらの組織特性はすべて、先の四要素と関連しているが、その優先度について検証したところ、組織構造や動機づけよりも、意思決定権や情報活用にまつわる組織特性のほうが高く、戦略実行力の優劣を大きく左右していることが判明した。
[新訳]
外部環境と内部資源を結びつける
リソース・ベースト・ビューの競争戦略
ハーバード・ビジネススクール 非常勤教授
デイビット・J・コリス
ハーバード・ビジネススクール 教授
シンシア・A・モンゴメリー
産業組織論を援用したマイケル・E・ポーターの「ファイブ・フォース」モデルは外部環境に重きを置いた戦略論であったが、一九八〇年代後半から九〇年代初めにかけて現れた
コア・コンピタンス論、ケイパビリティ論は企業内部にこそ競争優位は存在する、というものであった。本稿で論じられている「リソース・ベースト・ビュー」(RBV)はこの対極にある二つのアプローチを結びつけるものだ。企業固有の資源やコンピタンスの重要性を認識する一方で、これを競争環境のなかに位置づけるのである。シャープ、ディズニー、ニューウェルなどの成功企業の事例をひも解きながら、有益な資源の条件、それを戦略に落とし込む方策などについて解説する。
HBR Articles
投資価値評価がもたらす三つのバイアス
財務分析がイノベーションを殺す
ハーバード・ビジネススクール 教授
クレイトン・M・クリステンセン
ハーバード・ビジネススクール 上級講師
スティーブン・P・カウフマン
ハーバード・ビジネススクール 上級講師
ウィリー・C・シー
イノベーションに成功方程式はないと言われるが、そもそも資金はもとより、時間や経営資源が十分投じられているのだろうか。筆者らは、イノベーションの価値を評価する財務分析手法の誤用に注目する。まずDCF法は、非現実的なシナリオとの比較によってイノベーションの是非を判断しており、しかも計算されるNPVはあいまいである。また、イノベーションのコストは「全部費用」と考えるべきにもかかわらず、固定費と埋没費用の概念に縛られて、投資をためらう傾向がある。これは、ニューコアなどのミニミルに市場を奪われたUSXが典型である。そして、経営者はEPSの短期的な上昇を意識するあまり、不確実なイノベーション投資に二の足を踏みがちだが、これは「プリンシパル・エージェント」理論がもたらした弊害であり、この考え方はいまや時代遅れであると指摘する。
「リスク・マトリックス」
「RWWスクリーニング」で取り組む
「大文字のイノベーション」も必要である
ペンシルバニア大学 ウォートン・スクール 教授
ジョージ・S・デイ
企業の開発ポートフォリオのほとんどは小粒な改善プロジェクトが占めていることが多い。こうしたプロジェクトでは、企業が求める成長はけっして実現できない。この状況を変えるには、システマティックかつ体系的にリスクを管理したうえで意欲的なイノベーションの比率を増やさなくてはならない。本稿ではそれに役立つツールを二つ紹介する。「リスク・マトリックス」によって、企業のイノベーション・ポートフォリオ全体にわたるリスクの分布状況を視覚的に示し、プロジェクトの成功・失敗の可能性を明らかする。さらに個々のプロジェクトのリスクとポテンシャルは、「RWWスクリーニング」によって評価する。ゼネラル・エレクトリック、ハネウェル、ノバルティス、3Mなどこれらの手法を使い、成長を実現する企業が増えている。
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